toggle
多摩地域・立川の法律事務所
2018-02-03

年金分割とは?

「年金分割」とは、離婚等(婚姻取消・事実婚解消も含む)をした場合に、夫婦の合意又は裁判所の決定により、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割することができる制度です。
夫が会社員で、妻が専業主婦の場合など、家計は一緒でも、それぞれの名義で受け取れる年金額には差があります。離婚した際に、公平の観点からその差を埋められるように設けられた制度です。

1 対象となる年金と期間

対象となるのは、公的年金のうち厚生年金旧共済年金です。基礎年金や上乗せ部分には影響がありません。
期間も、婚姻期間中に納付した部分が対象となります。婚姻前や離婚後の期間は含まれません。

2 手続と期限(合意分割)

当事者双方の合意または裁判手続により按分割合を定める必要があります。
※3号分割については後記のとおり

⓵裁判手続を利用→合意内容を公正証書等の書面にする

⓶裁判手続を利用する→管轄の家庭裁判所に対して、調停・審判の申立て
当事者双方で合意がまとまらない場合は、当事者の一方の求めにより、裁判所が按分割合を定めることができます。

分割請求の期限は、原則として、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内です。

合意の成立だけではなく、期限内に年金事務所に請求手続をする必要があります。期限を徒過しないようご注意ください。

手続に際しては、「年金分割のための情報通知書」が必要です。管轄の年金事務所に対し、年金分割のための情報提供請求をして、取得してください。
離婚後にも期限内であれば年金分割の請求ができますが、離婚を考えておられる場合には、離婚前から準備をすることをお勧めします。

3号分割
平成20年5月1日以後に離婚等をし、平成20年4月1日以後の国民年金の第3号被保険者期間中の厚生年金・旧共済年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)がある場合には、国民年金の第3号被保険者であった方からの請求により、平成20年4月1日以後の婚姻期間中の3号被保険者期間における相手方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ、当事者間で分割することができる制度です。
「3号分割制度」については、当事者双方の合意は必要ありません(逆に言えば、按分割合を合意で定めることはできません)。離婚後に年金事務所で手続をすればOKです。
ただし、請求期限は、合意分割と同様、離婚時から2年以内です。

参考:日本年金機構のサイト
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/kyotsu/jukyu-yoken/20140421-04.html

関連記事